裏話・カルラと義央について

 

カルラが最初に生まれたきっかけから今の形になるまでをつづります。

あれは二十世紀のころの話、ある日に見た夢が、物語の途中から途中までという感じで(そういう夢は時々見るのですが)

妙に印象に残ったのでした。 美しい顔の戦士が、なんらかの任務を失敗したためにその顔を無残に切り裂かれてしまい、

命はとりとめたものの大量の血痕を残して姿を消してしまいます。その相棒と思しき男は、理不尽に相棒を失ったために

やり場のない激情に苦しむのですが、その後手を尽くしてようやく見つけた相棒は顔と心に大いに傷を負っているため、

決して会ってはくれない。何度会いに行ってもそのたびに拒絶される。そんなような夢でした。

 

その夢が妙に忘れられないのでイメージを絵に描いて、そして名前を付けました。 この、美しい顔を切り裂かれる男が、

カルラの原型です。誕生のきっかけからしてすでにこんなキャラ。そして相棒が義央の原型です。

何度もカルラに拒絶される展開のルーツはコレか。

 

この二人のイメージはその後も時々思い出すので、近年になってもうちょっと使い勝手のいいキャラクターとして造形し直してみよう、

と思い立って、基本的なイメージはそのままに生い立ちや設定などを新たに作り上げて、その過程でこのキャラはそもそも

どんなキャラなのかと煮詰めて成分分析しているうちに、いろんなマンガやアニメや映画などの無残に死ぬキャラクターの成分が

凝縮したようなもの(そもそも最初に見た夢がそんな感じ)という分析結果が出ました。まあ、概念が集まった妖怪のようなものです。

北方謙三版水滸伝の作中に顔を壊されるというモチーフが出てきたので、それでカルラの原型を思い出したのでした。

っていうか何十年前に一度見ただけの夢をいまだに思い出せるっていうのもなんというか……それだけ忘れられない

インパクトだったって事でしょうか。

夢の中の彼らの関係性ははっきりしないのですが、義央がカルラに妄執レベルの執着心を持っているのは確かで、

そこをとったら何も残らないような感じはあります。あ、だから冒頭の義央は空虚を抱えていたのか。思い出して納得。

 

最初のスケッチのカルラは直毛でしたが、イメージを動かしているうちにもうちょっとふわふわしている感じがするなーと思ったので

ウェーブヘアに変わりました。あとは顔のディティールをいくらか追加しました。正統派美形ではなく、一歩間違うとブサイクに

なりかねない感じの偏った顔バランスに仕上げてあるので、綺麗に見えるように作画は少々苦労します。

悪そうな表情している時の方がすんなり描けたりします。

 

義央は最初はもうちょっと東洋系の顔立ちで、性格ももうちょっとネガティブな感じだったのですが、カルラがホッソリ切れ長なのとの

対比をより鮮やかにするために、彫りの深い濃い顔立ちのロシア系設定を追加して、性格はちょっと幼くバカっぽくなりました。

作画はさほど苦労せず表情も豊かなのですが、どうなるか描いてみないと分からない所があり、義央に関しては外見も性格も

「描いたらこうなった」としか言えない所があります。あ、こんな表情するんだ、みたいな感覚がしばしばあります。

 

で、この二人だけだと死亡フラグを誰にも止められないので、ストッパー役が必要だよなあと思って追加したのが蓮です。

最初の夢の中にも、カルラを失って荒れる義央を止めようとしていた男は居た気がするので、多分それが蓮の原型。

義央から抜き取られた、東洋系の顔立ちでネガティブな性格というのは蓮の方に受け継がれています。つまり、義央の原型から

今の義央と蓮の二人に分かれたわけで、性格も真逆なようで似た者同士です。 顔は、三十秒で描ける顔、というのがコンセプト。

正確に三十秒かどうかは分かりませんが、サラッと描いてそのまま完成させる、あれこれ修正したら負け、みたいな感覚で描いています。

カルラが綺麗な顔になるまでいくらでも時間をかけて描くのとは真逆。でも一瞬の集中力は必要なので、緊張感のある作画が

これはこれで楽しかったり。

 

涼介は、話を引っ張ったりひっかきまわしたりする立ち位置が必要だなと思って投入したキャラで、特に原型は居ません。

表面上人懐っこいけど腹の中で何を考えているか分からない所があって、いまだにつかみどころがない感じがします。いつか本性を

現す時が来るんでしょうか。性質としては、カルラの「男を狂わすエロ妖気」をまったく感じないという特徴があり、カルラと平常心で

接することができるキャラです。 外見は、他の男どもにはカワイイ要素が不足しているので、その分涼介は思いっきりカワイイ系に仕上げました。

で、ちょっと意地悪だったりしたたかだったり底が知れない雰囲気も含めてます。カルラが「小悪魔なようで純情」なのとは逆で、

真性小悪魔は涼介の方。外見的に白人系の方が自然だったので、結果全員ルーツが多国籍という設定になりました。

 

以下は、カルラの成分分析のために描いたラフスケッチの一部です。

鉛筆描きを補正したので見づらいですが……ラフスケッチっぽくてこれはこれで。

カルララフ、テレ顔

テレ顔。これはちょっと可愛くなっちゃったかも。

カルララフ、見下し顔

見下し顔。カルラらしさを追求したらこうなった。

カルララフ、涙ぐむ

膝を抱えて涙ぐむ、このしぐさと表情が出てきてようやくカルラの内面がつかめた気が。

全体に、髪のウェーブ加減に若干の迷いが見えます。ほかにもいくつか描きましたが笑顔らしいものはほとんどありません。

表情が豊かになるのはもうちょっと経ってから。他の子にはこういうラフはほとんどないのですがカルラだけやたらにあります。

 

 

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